2018.07.26
こんにちは。ノービスの斎藤です。
多くの賃借不動産のオーナーからご質問を頂く、賃借人の火災保険とオーナー自身の火災保険の関係ついて紐解いています。今回は「其の3:不動産オーナーの保険について」です。
「賃借人が保険に入るのに、オーナーも保険に入る必要があるのはの何故か??」今回の記事で、このテーマを結びたいと思います。
其の1、2の記事を読まれてからでないと理解が難しいと思いますので、よろしければそちらの記事からご覧ください。(其の1:賃借人の保険について、其の2:火災のルールについて)
さて、不動産オーナーが火災保険に加入しておいた方が良い理由ですが、これは大きく3つあります。
前回までの重複になりますが、賃借人の失火により建物を燃やされてしまった場合、賃借人の保険から支払われるのは、その人が借りている部屋の修理代まで。他の部屋やエントランスなどの共用スペースは、オーナー自身が加入する火災保険でないと補償されません。
賃借人の火災保険から修理費用が支払われるケースでの注意点は「時価での支払い」である事にも注意が必要です。
他人の物を壊してしまった時にいくら弁償(賠償)すればいいのか? 法律では同じ物の再購入費用ではなく、時価額で良いと定められています。つまり、新品の物を買って返す義務まではありません。
建物の修理に置き換えて考えると「修理金額>時価額」の場合、賃借人の保険からは修理代金の全額を支払ってもらえない事になります。
「その場合には、差額は賃借人に払わせる!」と息巻く人もいらっしゃいますが、実は間違い。
保険は法律に照らし合わせて賠償金を支払っているので「保険が払わない=法律上、賃借人にはそれ以上の賠償義務がない」と考えられます。よって、差額を請求しても支払ってもらえません。
その代わり、保険会社の時価額の算定方法について疑問がある場合には、保険会社と交渉してみてはいかがでしょうか?
しかし、そんな事をしなくても、賠償金と修理代金の差額はオーナーが加入している保険会社に請求すれば支払って貰えます。
実際に必要な修理費用を賄う為にも、オーナー自身が火災保険に加入することは有効なのです。
※但し、オーナーが加入している保険が、時価でしか補償しない古いタイプの火災保険だと、差額全額を補償してもらう事は難しいので注意しましょう。
不動産オーナーの建物が損害を被るのは、賃借人が原因とは限りません。
隣家からの延焼、地震、台風、土砂崩れ、床上浸水、らくがき、車の当て逃げ、泥棒など様々な要因で被害を受ける可能性があります。このようなケースでの損害は賃借人の保険では対象となりません。理由は其の1でも書いた通り、賃借人の加入する保険は、不動産オーナーの建物を補償する為のものでは無いからです。
3番をご説明するだけでも、オーナー自身が火災保険に加入する必要性をご理解頂くには十分ですが、より深く火災保険を知って頂きたかったので、回りくどい説明になってしまいました。
不動産オーナーの火災保険と賃借人の火災保険、一部補償が被るのも事実です。しかし、賃借人の火災保険の目的はオーナーさんの建物を守る為ではなく、賃貸借契約に基づく現状復旧義務の約束を果たす為のもの。保険に加入する目的が異なっている事を理解すると、腑に落ちるのではないでしょうか。
前回の記事の最後に「賃貸物件が一戸建てであれば、その建物の賠償は全て賃借人の保険で賄えるから建物の補償は不要か?」と書きましたが、お判りの通り不要ではありません。
この2つの要素に対応する為に、オーナー自身が火災保険に加入する事は有効だと思います。
火災保険は加入義務がありませんので、オーナーの皆さまは上記の事を理解した上で、保険を検討されてみてはいかがでしょうか。
業界の常識は非常識と言われますが、おそらく保険業界は非常識の宝庫。多くのお客様が何に疑問を感じているのかを理解しながら、日頃の業務にあたりたいと考えております。
その為、疑問や質問がございましたら、問い合わせフォームからご質問を頂ければ幸いです。
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